集団的自衛権に関する議論が盛んになりつつありますが、先ずは政府が積み重ねてきた憲法解釈について確認しておきたいと思います。
<1> 憲法9条の解釈:
日本国憲法第9条は、「戦争の放棄、一切の戦力不保持、そして交戦権を否認」しています。一方、憲法前文で「日本国民の平和的生存権」、13条で「国民の生命、自由及び幸福追求権」を有することが確認されています。従って、「我が国(国民)に対する急迫不正の侵害がある場合にはこれを守る責任があることは憲法上当然で、個別的自衛権の行使だけは認められる」と長年にわたる政府解釈を積み重ねてきました。
<2> 個別的自衛権と集団的自衛権:
個別的自衛権とは、「自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止する権利」のことで、自衛権発動のためには三要件(1.我が国に対する急迫不正の侵害があること、2.これを排除するために他に適当な手段がないこと、3.必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと)に該当する場合に限られる、と解しています。
一方、集団的自衛権とは、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力を持って阻止する権利」であり、国民の生命等が危険に直面している状況下で実力を行使する場合とは異なり、憲法の中に我が国として実力を行使することが許されるとする根拠を見出しがたく、政府としては憲法上許されない、と解してきました。
<3> 今後の議論に向けて:
政府は、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」という解釈を40年以上にわたり続けて来ました。平和を党是とする我々公明党は、この政府解釈を尊重しており、また集団的自衛権をめぐる様々な課題については、長い時間をかけて政府が法制局で解釈を積み重ね、体系的な整合性を保った考え方が確立されていると捉えています。
今週中にも安倍総理の私的な諮問機関より報告書が出されます。我々は、報告書が公表され、政府がそれを受けてどのような判断を示すかを注目すると共に、与党内でしっかりとした協議を行い、国民的な議論となるよう全力を尽くして参ります。